海外旅行には絶対不可欠なモノ、それはパスポート。
これがなければ旅行自体は成立しません。なので、本当に本当に大事にした方がいい。
でも、このパスポートにちょっと自分で何か記入したらどうなるの? ホントのホントのこわーい話を紹介します。
ちょっと線を書いただけなのに
これは知り合いのAさんの実話です。
その人は几帳面な性格の持ち主で、パスポートに入出国スタンプがランダムに押されるのがイヤでイヤでたまりませんでした。
↑こんなカンジ。けっこう職員はテキトーに押しますからね。離れたページにポンと押されたこともあります。
前からちゃんと詰めて押してほしい。そう思うのは日本人のサガなのでしょうか。
ともあれ、そのAさんはイミグレの職員にきちんとスタンプを押してもらいたくで、ある策を講じました。
それは何か?
白紙ページに線を引くことです。
わかりますかね。上の画像のように、パスポートにボールペンで薄く線を引いて、1ページを6分割にしたんですわ。(このページは、以前の古いパスポートの余白ページに線を入れた見本です、鉛筆書き)
ま、ちょっとした目印です。この線の中にスタンプを押してね、という意思表示といいましょうか。
薄い線だし、何の問題もないと思っていました。
が、しかし、ある国の出国時にとんでもない事態が起きたのです。
おまえ、これは何だ!
それはAさんがマレーシアのクアラルンプール空港に到着し、入国しようとしたときでした。彼のパスポートを見て職員が「おまえ、これは何だ!」と厳しく尋ねたのです。
何だと言われても単なる線だし、スタンプをキレイに押してもらうためのものだしと、叱責されたAさんはびっくり。
そもそも、過去に10回以上もそのパスポートで入国できていたのです。今回だけあれこれ言われるなんておかしいだろうと、このへんまでAさんは強気でいました。まあ、お叱りだけでなんとか入国はできるだろうと思ったんですね。
しかし、事態は悪い方向へと進みます。「パスポートに線が引いてある以上、入国させることはできない」と職員は断固として入国を拒否。
結局、Aさんは別室に連れていかれて、英語で説明をさせられました。自分は何者で、入国の目的は何で、線の意味とかこれまで何度も入国してきたこととか、問われるままに説明をして、書類にサインもさせられて…。
そして、拘束されること19時間! ようやく開放されました。
しかし、結局、入国はできなかったのです。そう、強制送還でタイに戻されました(Aさんはタイに住んでいて、タイからマレーシアに入っていたため)。
タイには無事に入れましたが、もうマレーシアに行くのはこわい。今度、仕事で行く場合にはパスポートを取り直さなければなりません。
パスポートへの記入は旅券法違反
Aさんのようにパスポートに線を引く人は少なくないようです。規則正しく押してほしいと思う人は案外多いんですね。
その場合、すぐに消せる鉛筆で書き入れている人が大半のようですが、旅券法からいうと、どんな筆記具であってもパスポートの白紙のページに何か書くことはNGです。目的がなんであれ、落書きとみなされます。
鉛筆だろうとフリクションボールペンだろうと、とにかく何も書いちゃだめ。これが原則です。
外務所のパスポートQ&Aのページにはこう出ています。
Q22 メモなど書き込みをしたら駄目ですか?
A 書き込みはしないようにお願いします。
パスポートは,日本政府がそのパスポート所持者が日本人であることや氏名,生年月日などを証明する国際的身分証明書であり,また,外国において万一何かが起こったときにその国の政府に対してパスポート所持者に必要な保護と援助を与えるよう要請する重要な公文書です。
外国に渡航される際,入国を認めるか否かはその国の入国管理当局の判断になります。パスポート発給当局が必要な記載をしたり各国の出入国管理当局が出入国証印やビザの貼付に使用するページを,パスポート所持人がメモ用紙のように用いて書き込みをしますと,ビザ申請時や入国審査時にトラブルになることがありますので,お控えください。
すべての国がマレーシアのような対応を取るとは限りません。スルーされるケースも多いようですが、万が一、ないとも言い切れない。その場合、非は明らかに書いた本人にあるのですから、言い訳がききません。
なので、どんなに几帳面にスタンプを押してもらいたくても、じっと我慢いたしましょう。ランダムに押されたスタンプもまた、旅の思い出なのです。
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