海外旅行先でロストバゲージに遭遇すると、悲しくなりますよね。ターンテーブルで荷物を待っても待っても出てこない。あのときの気分ときたら…。
その後の対応も大変です。言葉もうまく通じないし、ホント泣きたくなりますが、そんな緊急事態を乗り越えられる対処法を知っておくと心強いです。
ロストバゲージにでくわしたらどんな手順で対処したらいいのか、英語での質問はどうしたらいいのか。ポイントは何か。すぐに役立つ対処法を紹介します。
目次
ロストバゲージの荷物の98%は戻ってくる
ロストバゲージには、単に荷物が遅れて届く「ディレイドバゲージ」と、本当に荷物が紛失してしまう「ロストバゲージ」の2種類があります。
でも、一般に言う「ロストバゲージ」とは、この2つの総称。ここでも両方の意味で使っています。
さて、ロストバゲージの確率を知っていますか?
航空会社や旅行代理店など旅行関連業界の非営利組織SITAが発表した2017年度のレポートによれば、ロストバゲージに遭遇する乗客は1000人中5.73人だそうです。
この確率は2016年よりも12.25%も落ちていて、過去10年間でみると70%も減少しているとか。昔と比べればロストバゲージはかなり少なくなっているのは、技術革新により荷物を正確に仕分けして、正しい目的地に送り届けやすくなったからでしょう。
とはいえゼロではありません。確率がどんなに低かろうが、遭遇してしまったらもう大変。せっかくの楽しい旅行気分がだいなしです。
もしロストバゲージになってしまったら嘆いていても仕方ありません。大事なのはその後のアクション。
正しい対処の仕方を知っておけばそう悲嘆に暮れることもありません。というのも、やはりSITAによればロストバゲージのうち79%は単なる「ディレイドバゲージ」で、持ち主のもとに荷物が戻ってこないケースは全体の2%なのだそうです。
これは2016年のデータなので、いまはもっと減っているのではないかと思われます。
なので、ロストバゲージだったとしてもほぼ荷物は回収できると考えていいでしょう。冷静沈着に行動するのが一番なのです。
以下、具体的に手順を紹介します。
バゲージクレームのカウンターへ行こう
ターンテーブルで待っているのに、いっこうに自分の荷物が出てこない!
おかしいなと思っていたら、いよいよターンテーブルが停止してしまい、荷物出しが終了してしまった–!
なんて事態に陥ったら、迷うことなくバゲージクレーム(Baggage Claim)のカウンターに行きましょう(空港によっては「Lost and found」と表示されていることもあります)。
空港には必ずあります。ターンテーブルと同じフロアにあるはずです。その空港を利用しているエアラインのスタッフが集まっている場所です。
そのとき、忘れずにクレームタグ(Claim Tag)と航空券とパスポートを持っていきましょう。クレームタグというのは空港でチェックインして荷物を預けたときにもらる「預け荷物の引替証」のことです。バーコードがついているアレです。
これは絶対になくしちゃだめ。あとあとまで重要なので絶対に大事に保管しておきます。
繰り返します。バゲージクレームに持っていくモノは以下の3つです。
- パスポート
- 航空券
- クレームタグ
手荷物紛失証明書を提出する
バゲージクレームのカウンターに行ったら、スタッフに「荷物が出てきません」と告げましょう。
My baggage has not arrived.
もしくは単に
Lost baggage!と
言っても通じます。
すると、スタッフが手荷物紛失証明書(PIR :Property Irregularity Report)を出してくれるのでこれに記入しましょう。スタッフが書いてくれることもあります。
なお、書類の形式や名称はケースバイケース。中に書く項目はほぼ同じです。
- フライト便名
- 出発地
- チケット番号
- クラス種別*
- 氏名
- 住所
- 職業
- 生年月日
- 旅券番号
- 滞在先ホテルの住所・TEL
- スーツケースの特徴
- スーツケースの中身
- 免税品の有無
*クラス種別は航空券に出ていますが、わからなかったらスタッフに航空券を見せるといいです。
この書類作成の目的は、荷物を追跡してもらうためと、荷物が届かなくてとりあえず当座必要なモノを買った場合(下着や洋服など最低限のモノ)の請求時に使うためです。
スーツケースの特徴を書く欄には、色や形、大きさ、ブランド名を入れます。
一番いいのは荷物を預ける前に写真を撮っておくこと。そうすると表現もしやすいし、なんならバゲージクレームのスタッフに写真を見せてもいい。話がスムーズに進みます。
スーツケースの中身の欄も同様です。事前に荷物のチェックリストを作っておくと、いざというときにとっても便利。詰めたところを写真に撮っておいても思い出しやすいと思います。
手荷物紛失証明書のコピーをもらう
書類に記入し終わったら、必ずコピーをもらいましょう。
で、そのときに対応してくれたスタッフの名前をそのコピーに記入しておくことをおすすめします(わからなければ聞きましょう)。
この書類には、「参照番号」(reference number)が出ています。これが荷物の状況を把握するときにとっても重要!
問い合わせ先の電話番号を聞く
連絡をただ待つのはつらいですよね。すぐにホテルに届けてもらえればいいですが、何日もかかってしまうことがないとはいえません。荷物がいまどんな状況にあるのか、いつ届くのか知りたいですよね。
主要なエアラインは、さきほどの「参照番号」と「名字」を入力すれば、荷物がいまどこにあるのかをチェックできるサービス(webページ)を設けているので、そこに利用するのが一番いいかと思います。
例えばKLMの場合には、ワールドトレーサーというサイトを使います(ここ)。
そういうサービスがないエアラインの場合にものをいうのが問い合わせ先の電話番号です。
常に新しい情報が得られるように、必ず問い合わせ先の電話番号を確認しておきましょう。英語で質問するならこんなカンジで。
なくなった荷物の新しい情報を得るには何番にかければいいですか?
What number should I call for updates on my missing baggage?
あるいは
なくなった私の荷物について、いつそちらから新しい情報をいただけますか?
When can I expect an update from your company about my missing baggage?
また、常識的に考えれば、航空会社側の費用で荷物が送られてくるはずですが、気になるのであれば費用についても確認した方がいいです。そのときは以下のように聞けばいいかと思います。
If my bag is found, will your company pay to have the baggage delivered to me at my hotel?
書類に必要な項目を記入して提出し、さらに向こうの電話番号なども確認したら、もう空港でできることは終わりました。ホテルに向かいましょう。
最低限必要なモノを調達する
荷物がないとなにかと不便です。暖かい国から寒い国に出かけた場合など、コートがないと大変ですよね。下着だってほしいし、着替えの服も必要です。
こうした出費についての対応はケースバイケース。
航空会社によっては、当座の必需品の購入費として60ドル〜100ドル程度を支給してくれるところもありますが、自分で買って後から請求というところもあります。
ただし、後から請求できるとしても、「妥当な支出」の範囲内でなければ保障してもらえません。アクセサリーがないといやだからという理由で買ったりすると、まず「妥当ではない」として認められないはず。
荷物が届くまでに、どうしてもコートがないと寒くて困るとか下着がいるとか、そういった合理的な理由がある支出に限られます。衣類(下着、シャツ、ズボン、靴下等)の着替え、洗顔、シャンプー、ハブラシであれば問題ないでしょう。なお、目的地に到着後、96時間以内に購入したモノが対象です。
食事代も請求したら出してくれたという例もありますので、レシートはすべて保管しておきましょう。
*これらの代金は手荷物が手元に戻った日から21日以内に航空会社に請求します。主要な航空会社であればホームページから申請できます。見つからないようなら、日本に戻ってから航空会社に電話をかけましょう。
航空会社にプッシュ!プッシュ!プッシュ!
ホテルについたら後は荷物を待つしかない?
いえいえ、向こうからの連絡を待つのではなく、こちらから状況を積極的に聞きましょう。
Webサイトでトレースできる航空会社であればいいですが、そうでない場合にはこちらから行動した方がいいです。
Have you located my baggage?
これでOK。
問い合わせの必要なく、荷物がすぐに届いた!となればめでたしめでたしですが、世の中そうとばかりとは限りません。
行動あるのみ。ぜひエアラインにプレッシャーをかけてしっかり荷物を追跡してもらい、できるだけ早くホテルに送り届けてもらうことです。
ホテルを移動する場合にはなおさらです。先方に新しいホテルの連絡先を告げ、いま泊まっているホテルにも事情を話しておくことをおすすめします。
クレジットカード会社に連絡しよう
ホテルに落ち着いたところで(もっと早くかけてももちろんOK)、もし手持ちのクレジットカードが付帯保険として手荷物遅延や紛失の補償を設けている場合には、カード会社に連絡をしておきます。
手荷物遅延や紛失の補償を設けている主なクレジットカードは次の通り(費用はいずれも海外旅行の場合)。
クレジットカード名 | 年会費 | 手荷物遅延費用 | 手荷物紛失費用 |
アメリカン・エキスプレス・ゴールドカード | 2万9000円 | 2万円 | 4万円 |
セゾンゴールドアメリカン・エキスプレス・カード | 1万円 (初年度無料) |
10万円 | 10万円 |
MUFGカード ゴールド | 1905円 (初年度無料) |
1万円程度 | 2万円程度 |
JCBゴールドカード | 1万円 (初年度無料) |
2万円 | 4万円 |
三井住友 プラチナ カード | 5万円 (初年度無料) |
2万円 | 4万円 |
Orico Card THE WORLD | 9800円 (初年度無料) |
3万円 | 10万円 |
ご覧のように、どれも年会費が必要なカードばかり。年会費無料でロストバゲージに対応しているところはありません。スタータスの高いカードのみの特典といえるかもしれません。
上に挙げたカードの中でおすすめなのは、セゾンゴールドアメリカン・エキスプレスカード。
年会費は1万円かかりますが、初年度は無料で、航空機寄託手荷物遅延費用も航空機寄託手荷物紛失費用もともに10万円の保障つき。これは本家のアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードよりもずっと良い条件です。
ここには出していませんが、飛行機の乗継便が遅延したときには3万円、欠航したときにも3万円の費用が出るんですよ。
自動付帯なのもいいです。
自動付帯というのは、そのクレジットカードで航空券を買っていなくても自動的に保障がついてくるということ。航空券を別のクレジットカードで購入していたとしても、セゾンゴールドアメリカン・エキスプレスカードを持ってさえすれば保障を受けられるわけです。
年会費を5万円もとる三井住友プラチナカードよりも保障金額がずっと高いのは注目したいメリットです。
たびたび海外旅行をするとか、ロストバゲージの可能性が高い空港を利用する(パリのシャルル・ド・ゴール空港とはローマのフィウミチーノ空港など)旅行に出かける場合には、セゾンゴールドアメリカン・エキスプレスカードは持っていて損はないのではないでしょうか。
もし本当に荷物が紛失していたら…?
ほとんどの場合は2日以内に手元に荷物が戻ってくるはずですが、もし万が一、荷物の所在がつかめず、行方不明になったとしたら…。
この場合はもう仕方がありません。申告後72時間経過しても手荷物の所在が判明しない場合には、航空会社に申請して弁償してもらいましょう。
補償金額はエアラインによって違いますが、エールフランスの場合は最高で約1295ユーロとなっています。この金額は、国際航空運送における航空運送人の責任や損害賠償の範囲等について定めたモントリオール条約に則って決まられた金額なので、だいたいこのセンだと思って間違いないと思います。
請求はオンラインでできる航空会社もあれば、別途書類を送る必要がある航空会社もあるようです。すべてオンラインで可能であれば便利なのですが。
ともあれやるべきことを順序よくやっていけば、荷物はほとんどの場合戻ってくるし、荷物が届くまでに買った生活必需品の代金も支払ってもらえます。最悪、紛失したらしたで、手順に従いしっかり保障を求めましょう。
+++
以上、ロストバゲージが起きたときの対処法を紹介しました。
ロストバゲージは起こらないのが一番。荷物を預ける以上、100%ロストバゲージをなくす方法はありませんが、できるだけ防ぐ方法ならあります。それは以下のページにまとめましたので、こちらもご参考までにどうぞ。良い旅を!
>>ロストバゲージをできるだけ防ぐ方法ってあるの?どうすれば起きないの?
コメントを残す