成田空港だったらNRT、関空だったらKIX、バンコク・スワンナプーム空港ならBKK。旅行好き、航空好きにはすっかりおなじみの3レターコード。空港や都市を表すアルファベット3文字による略記法です。
3つのアルファベットで構成されたこのコードには、隠された(というと大げさですが)秘密がいろいろあります。
えっ、あの空港の3レターコードはそういうことだったの? だからあのアルファベットなんだー! そんな、話のネタにも最適な、知って楽しい、3レターコードにまつわる雑学をあれこれ調べてみました!
目次
1. なぜロサンゼルスはLAXで、フェニックスはPHXなの?
最後に「X」がついている3レターコード。いくつかの空港や都市が該当します。そのうちLAXやPHX、 PDX(ポートランド)の由来は、1930年以前に遡らなければなりません。
このころ、アメリカ国立気象局(NWS)が気象情報のために都市を2レターで管理していました。このとき、ロサンゼルスはLAだったし、フェニックスはPH。ポートランドはPDだったんですね。
でも、1930年以降、航空業界が飛躍的に成長を遂げたため、国際運送協会(IATA)は都市や空港を新たに管理する必要が生まれました。そこで、すでにNWSが2レターをつけていた都市については最後にXをつけて単純に3レターにしたんだとか。つまり、アメリカの空港で3レターの最後にXがついているのは、それだけ歴史がある大きな都市というわけです。
ただし、関空のKIXはその類ではありません。そもそも歴史もあまりないしね。
これは苦肉の策でした。Kansai International Airportの頭文字を取るとKIAになるはずですが、KIAはすでにパプアニューギニアのカイアピット(KAIAPIT)空港が取得済み。じゃあ、どうするか。KIの後に別のアルファベットをつけるしかありません。
ところが、KI◯という3レターコードはむちゃくちゃ多い。
AかZまでびっしりとあって、空いているのはわずかKIIとKIXのみ。そこで、なんとなくおさまりがよいXを選んで、KIXになったとか。現在は、KIIもパプアニューギニアのキブリ空港が取っているので、もうKI◯はA〜Zまで空きはゼロ。もし次にKI◯という3レターコードにしたい空港が出てきたら、数字をつけるしかない?
2. K、N、Wが頭についた3レターコードが少ないワケ
米国では、KやN、Wが最初に来る3レターコードの都市はとっても少ないです。
例えば、アメリカのキーウエストはEYWだし、ニューアークはEWRになっている。普通に、キーウエストはKYWでいいし、ニューアークはNWRでいいじゃないと思えますが、これ、先行組があったんですね。
米国では、海軍がNのコードを全部抑えて、KとWの方は、ミシシッピにあるラジオ局が使用していました。仕方がないので、ニューアークは、NewArkからEとWとRを取って、キーウエストはKeyWestからEとYとWを取って、3レターコードにしたということ。先手必勝が米国流?
3. なぜカナダの都市の3レターコードは頭にYがついているの?
これは前々から疑問に思っていました。バンクーバーは YVRだし、トロントはYYZ。オタワは YOWで、カルガリは YYC。なぜ、Yで始まるのか不思議ですよね。
これには諸説いろいろあって、はっきりしたことはわかってないようですが、一番有力とされるのが無線のコードを適用した説。そのまま空港コードに使っちゃったようなんですね。早いもの勝ちは、米国もカナダも同じですね。
4. 昔の名前で出ています
都市の名前が変わってしまったのに、空港コードはそのまま、というケースはいくつもあります。
例えば、ヤンゴン。3レターコードはRGNですが、これはかつてヤンゴンがラングーンと呼ばれていたため。ミャンマーがビルマと呼ばれていた時代のお話です。国名は変わり、体制も変わり、首都の名前も変わったのに、いまだに3レターコードはRGN。過去を思い起こさせてくれるので、個人的にはそのままでも旅情があっていいな、と思いますが。
ホーチミンシティ空港のSGNも同じ例。サイゴン時代のコードをそのまま利用しています(正式名称のタンソンニャットは、空港がある地名)。
セントペテルスブルグの LEDもそう。察しのいい方ならおわかりでしょうが、これはレニングラード時代の名残。北京の3レターコードがPEKなのも、以前、北京が「Beijing」ではなく、「Peking」と呼ばれていたため。昔の名前で出ている3レターコード、探すとけっこう多そうです。
5. それは人の名前でした
人名に由来した3レターコードというと、すぐに思い浮かぶのはJFK。ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港でしょう。
まあこの場合は多くの人が類推できますが、よほどの事情通じゃないと由来がわからない3レターコードもなくはない。例えば、ノックスビルのTYSです。Tって何? Yはいったいどこから来たの?
答えは人名でした。ノックスビルの空港の正式名称は、マクギー・タイソン空港。空港の敷地は、地元のTyson家から寄付されたものなのだとか。空港建設に貢献してくれたTysonファミリーにちなんでつけられた3レターコードがTYSなんですわ。
じゃあ、オーランドのMCOは? 地元にディズニーランドがあることから、「Mickey Mouse Country」の略、なんて説もあるようですが、正解はマッコイ空軍基地(McCoy Air Force Base)。オーランドの空港は実質的に空軍の土地をベースに運営されているんですね。
5. 笑える3レターコード
真面目に都市名にちなんでつけたら、おかしなものになっちゃった。そんなケースも見受けられます。
代表的なのが、カリフォルニアのフレズノ・ヨセミテ国際空港です。こちらの3レターコードはFAT。でぶ、ですよ。もっと笑えるのが、ロシアのボリショエ・サヴィノの空港やブラジルのポソス・デ・カルダス空港です。
前者の3レターコードは、ペルミ地方ペルミにあることからPEE(おしっこ)、後者はPOO(ウンチ)。英語圏の人は笑いをこらえるしかありません。
こんな3レターコードはイヤだ!と変更を試みた都市もあります。それは、アイオワ州のスーシティ。3レターコードのSUXは、英語では「サイテー!」と表すスラング。過去2回、変更を申請したものの通らず、結局いまもSUXのまま。
ただし、2007年から地元は開き直って、こんなキャンペーンを展開しています。
「FLY SUX」
いいね、いいね。暑いのを逆手にとって「あついぞ!熊谷」を売り出した熊谷市みたいなもんでしょうか。残念ながら熊谷氏はその後、キャンペーンをやめちゃいましたが、スーシティは継続中。こんなグッズも売り出しています。
がんばれ、FLY SUX!!
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